UX 検定をきっかけに、UX の考え方を整理してみた

春は無闇に落ち込みます。
この記事は、社内イベント「お茶会」での発表内容をもとにまとめたものです。
今回は弊社の yamada が、UX 検定の受験をきっかけに、UX や人間中心設計について発表しました。
昨年の11月末に、UX 検定(基礎)を受験しました。
名刺の肩書きに UI デザイナーと書いていることもあり、今後この分野でやっていく以上、UX についての知識はきちんと押さえておきたいと思い、その手始めとして受けてみました。
今回は UX 検定の内容をもとに、人間中心設計(HCD)や UX の考え方について整理していきます。
01 UX 検定とは
UX 検定は2022年にスタートした比較的新しい資格で、UX や人間中心設計(HCD)の知識を体系的に学ぶことを前提としたものです。
今回受けた「基礎」は、UX や HCD の考え方を一通り理解しているかを見る位置づけの試験。
基礎については試験単体で受験できますが、上位の「応用」は研修の受講が前提となっており、試験だけで進めるものではありません。
また、UX 検定とは別に、人間中心設計に関する資格として「専門家」「スペシャリスト」といった認定もありますが、こちらはレポート提出や実務での改善実績が求められるなど、より実践寄りの内容になっています。現段階ではまだ難しそうだったので今回は見送りました。
なお、UX 検定と人間中心設計に関する資格は、それぞれ別の団体が運営しています。
試験に向けて
試験に向けては、学習推薦図書 4 冊のうち下の 2 冊を読んで臨みました。
過去問や十分な練習問題は公開されておらず、公式サイトに掲載されているのも問題例が数問ある程度です。
そのため、出題形式のイメージを掴みつつ、受験者が作成した予想問題も購入して何度か解いて対策。
シラバスも公開されているため、それをもとに AI で内容を整理しながら、全体像を掴むことを意識して進めました。
試験を受けてみて
今回はオンラインで自宅から受験しました。
試験自体は、UX や人間中心設計に関する基礎知識が幅広く問われる内容で、特定の分野に偏るというよりも、全体をバランスよく理解しているかを見る印象でした。
実際に受けてみると、学習推薦図書からの出題が多かったように思います。
事前に解いていた予想問題も再現度が高く、個人的にはかなり参考になりました。
結果は項目ごとの得点が表示される形式で、どの分野ができていたかは分かる一方で、どこをどう間違えたのかまでは確認できませんでした。
無事に合格はできたものの、振り返りのしづらさは少し気になるポイントです。

合格すると、証書やロゴをダウンロードでき、名刺などに掲載することもできます。
ただ、基礎だと少し物足りなさもあるので、応用に合格した際には使ってみてもいいかもしれません。
02 UXと人間中心設計について
せっかくなので、UX(ユーザーエクスペリエンス)の考え方の土台となる人間中心設計(HCD)についても基本的な考え方を整理しておきます。
UX は「ユーザーがどんな体験をしたか」という全体の話で、単に使いやすいかどうかだけではなく、その体験が良かったかどうかまで含めて考えます。
ユーザビリティ(使いやすさ)やユーザー視点で課題解決を考えるデザイン思考といった考え方も含め、そのベースにあるのが人間中心設計(HCD)です。

人間中心設計は、ユーザーを中心に考えて設計を進めるための考え方やプロセスのことを指します。
HCDサイクルとは
人間中心設計には「HCD サイクル」と呼ばれる考え方があります。
これは、使いやすさや体験の質を継続的に改善していくためのプロセスです。
PDCA サイクルに近い考え方ですが、よりユーザー視点に寄せたものになっています。
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流れとしては、以下のステップを繰り返していきます。
- 状況を把握する(ユーザー調査や観察)
- 要求を整理する(要件定義やペルソナ設計)
- 設計して解決案を作る
- 評価する(テストや検証)
これを繰り返していくことで、プロダクトを改善していきます。
こうした改善を進めるうえでは、ユーザビリティをはじめとして、UX に関するさまざまな考え方やモデルを整理して捉えておくことも重要です。ここからは、それらの基本的な概念について順に見ていきます。
ユーザビリティ
人間中心設計を考えるうえで重要な要素のひとつが「ユーザビリティ」です。
ユーザビリティは、製品やサービスの「使いやすさ」を測るための指標で、主に次の3つの観点で捉えられます。
- 有効さ:目的を正しく達成できるか
- 効率:少ない手間や時間で達成できるか
- 満足度:使っていて不快でないか、納得感があるか
この考え方は、ISO 9241-11 で定義されており、ユーザビリティは「特定の利用者が、特定の目的を達成するにあたり、特定の状況で、どれだけ有効・効率的かつ満足できるかの度合い」とされています。
このユーザビリティの考え方は1990年代から整理されてきたもので、1998年の ISO 9241-11 をベースに現在の UX の考え方へと発展してきました。
ユーザーエクスペリエンス
ユーザビリティが「ユーザーが目的を達成できたかどうか」を重視するのに対し、UX は「その体験が良いものだったかどうか」を重視します。
サービスやプロダクトを認知してから、実際に体験し、その後に振り返るまでの一連の流れすべてがUXに含まれます。
UX にはさまざまな考え方やモデルがありますが、ここではいくつか代表的なものを見てみましょう。
UX のハニカム構造
UX を構成する要素を 7 つに分けたモデルです。
使いやすさだけでなく、有用性や信頼性、魅力といった観点も含まれています。
体験に当てはめると一見当たり前に見えますが、すべてを満たすのは意外と難しく、良い体験を考えるうえで欠かせない基準になります。

UXの 5 階層モデル
UXの構成要素を 5 つの層で整理したモデルです。
- 戦略:ユーザーのニーズとビジネスの目的
- 要件:必要な機能やコンテンツ
- 構造:情報設計や導線
- 骨格:レイアウトやインターフェース
- 表層:ビジュアルデザイン
ウェブ構築では、表層のビジュアルだけでなく、その下にある構造や要件まで含めて設計する必要があります。
デザイナーは結果としての体験そのものを直接つくることはできませんが、その体験が良くなるように設計することはできます。 つまり、結果ではなく、その手前の設計によってUXを形づくっていくという考え方になります。
ハッセンツァールモデル
デザイナー視点とユーザー視点の流れを整理したモデルです。
デザイナーは、機能や表現、インタラクションといった「意図された性質」を設計します。
一方でユーザーは、それをもとに体験をし、「魅力」や「満足」といった結果を受け取ります。
つまり、デザイナーとユーザーでは見ているものが異なります。
デザイナーが直接つくれるのは体験そのものではなく、その手前にある設計の部分です。
結果としての体験はユーザー側で生まれるものですが、そこにつながるように設計することはできます。
UXを時間で捉える(UX白書)
UX は時間の流れの中でも変化します。
- 予期的 UX:サービスを知ったときに抱く印象や期待
- 一時的 UX:利用しているときの体験
- エピソード的 UX:利用後の振り返り
- 累積的 UX:全体を通して形成される印象
例えば飲食店であれば、来店前の期待、食事中の体験、帰宅後の満足感まで含めてUXといえます。
このように、UX は単一の瞬間ではなく、要素・構造・時間の積み重ねによって成り立ってるのです。
デザイン思考
いろんな企業や自治体で「デザイン思考」という言葉が使われるようになって久しいですが、これはデザイナーだけのものではなく、さまざまな場面で活用される考え方です。
デザイン思考では、最初から答えを出そうとするのではなく、課題を探しながら解決していくプロセスを重視します。
代表的なモデルのひとつに「ダブルダイヤモンドモデル」があります。
これは、まずアイデアを広く出して課題を見つけ(発散)、そこから重要な問題に絞り込む(収束)。
次に、その問題に対する解決案を再び広げ(発散)、最適な案に絞る(収束)という流れで進めていくものです。
また、デザイン思考は次のようなプロセスとして整理されることもあります。
- 理解:インタビューや観察を通してユーザーを知る
- 定義:どこに問題があるのかを整理する
- 発想:ブレストなどでアイデアを広げる
- 試作:アイデアを形にする
- テスト:ユーザーの反応を見て検証する
これらを一度で終わらせるのではなく、繰り返しながら精度を高めていくことが重要です。
03 まとめ
UX にはさまざまなモデルやフレームワークがあり、どれが正解というよりも、状況に応じて使い分けながら試していくことが大切だと感じました。
今回あらためて整理してみて、UX やデザイン思考に共通しているのは、「調査 → 要件定義 → アイデア出し → 試作 → テスト」といったプロセスを、一度で終わらせるのではなく、行き来しながら繰り返していくという姿勢だと実感しています。
とにかく一度つくって終わりではなく、プロセスを回し続けて改善していくこと。その考え方が根底にあるのが UX なのだと思います。
まだ知識として学んでいる段階で、自分の中で体系立てて整理しきれていない部分も多いですが、実務の中で使いながら理解を深めていきたいです。
ちょうど現在、UX 検定の申込受付期間(試験は7月)でもあるので、興味がある方はこのタイミングで受けてみるのも良いかもしれません。

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