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2026/07/23

テクニカルライティングとは?3 級試験の概要と文章作成の基本

テクニカルライティングとは?3 級試験の概要と文章作成の基本アイキャッチ

目次

この記事でわかること

  • テクニカルライティングの基本と、どのような文書に適しているのか
  • 3 級 テクニカルライティング試験の出題範囲、試験形式、受験料、参考書
  • 読み手に伝わる文章を組み立てる 4 つのステップ
  • 生成 AI を使った文章作成で意識したいこと

ジムに通い始めてから明らかに免疫力が低下しました。

この記事は、社内イベント「お茶会」での発表内容をもとにまとめたものです。
今回は、弊社の saiko が「3級 テクニカルライティング試験」の勉強を通して学んだ、テクニカルライティングの基本について発表しました。



普段の業務では、Slack やメールでのやりとりや資料作成など、文章で何かを伝える機会が多くあります。内容を正確に伝えながら、読み手にとって理解しやすい文章を書くにはどうすればよいのか。あらためて学んでみたいと思い、3 級 テクニカルライティング試験を受験することにしました。

試験勉強を通して学んだ内容を振り返り、普段の文章作成に取り入れたい考え方を自分なりに整理してみました。

※試験・受験対策セミナーに関する情報は、2026 年 7 月時点のものです。

01 テクニカルライティングとは

テクニカルライティングは、物事の説明や伝達を目的とした実用文を書くための技術です。

実用文には説明する対象と読み手が存在します。内容を簡潔かつ明快に示し、誤解なく理解してもらうことが重要です。情報を伝えるだけでなく、読み手に行動を促したり、文書そのものを成果物として仕上げたりする場合にも用いられます。

その歴史は古く、工業製品や科学技術の開発が複雑化した1950年代以降に広がり、製品の普及や法令・規格の整備、文書作成のデジタル化とともに発展してきました。

テクニカルライティングが有効な文書

テクニカルライティングは、次のような文書に適しています。

案内・お知らせ、提案資料、記録・報告、ガイド、仕様書・ドキュメント、レポート、教材・解説資料


一方、法令に沿った用語や表現が求められる法務文書や、印象に残る表現を重視する広告コピーには、そのまま適用しにくい場合があります。

02 TC 技術検定と 3 級 テクニカルライティング試験

こうしたテクニカルライティングの基礎的な知識や文章表現の能力を問う試験の一つが、「3級 テクニカルライティング試験[TW]」です。

一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会が実施する「テクニカルコミュニケーション技術検定試験(以下、TC技術検定)」の一つで、マニュアルなどの使用情報を作成する人に限らず、実用文に役立つ日本語の文章表現技術を身につけたい人を対象としています。受験資格に制限はありません。

試験範囲には、文法や用字・用語、表記、読みやすく誤解されにくい文章表現のほか、表現設計、構造化、制作ツール、コンプライアンスなども含まれます。

近年は、冬の 2 月頃と夏の 7 月頃に年 2 回実施されています。主な試験内容は次のとおりです。

  • 選択式問題:50 分
  • 記述式問題:50 分
  • 受験料:TC 協会会員・学生は 11,000 円、非会員は 16,720 円
  • 主な試験会場:東京、大阪、名古屋、福岡、広島、石川

開催回によって変更される可能性があるため、詳しくは公式サイトをご確認ください。

試験後は合否通知が郵送され、合格者には合格証書が送付されます。合否通知には 100 点満点に換算した得点が記載されます。
特定の業務に就くための必須資格ではありませんが、実用文を書くための基礎を体系的に学び、その到達度を確認する目安になります。

TC 技術検定の等級

TC 技術検定には、現在 3 級と 2 級があり、2 級は目的に応じて 2 種類に分かれています。1 級については、現時点で詳細を検討中のようです。

等級

試験

主に扱う内容

3級

テクニカルライティング試験[TW]

実用文を書くための日本語表現とテクニカルライティングの基礎

2級

使用情報制作ディレクション試験[DR]

使用情報の企画、設計、制作管理

2級

使用情報制作実務試験[MP]

取扱説明書などの執筆、作図、制作実務

1級

詳細検討中

現時点では試験内容を検討中

2 級を受験するには、3 級に合格していなければいけません。
3 級が文章作成の基礎を広く扱うのに対し、2 級は使用情報の制作に関する、より専門的な知識と能力を対象としています。

参考書と受験対策セミナー

公式の参考書として案内されているのが『日本語スタイルガイド(第3版)』です。試験範囲となる知識を体系的に学べます。

また、希望者向けにオンラインでの受験対策セミナーも開催されています。開催概要は次のとおりです。

  • 受講時間:1 回 3 時間
  • 受講料:TC 協会会員・学生は 4,400 円、非会員は 8,800 円

セミナーでは、試験範囲や参考書の学習ポイント、例題を使った解答の考え方などが解説されます。

ここからは、試験勉強を通して学んだ内容を、文章作成の流れに沿って自分なりに整理してみました。

03 読み手に伝わる文章を書く4つのステップ

テクニカルライティングでは、文章表現だけでなく、その前提となる人の認知と行動の特性も考慮します。

目や耳から受け取った情報は一時的に保持され、これまでの知識や経験と照らし合わせながら処理されます。その結果、意思決定や行動につながり、必要な情報が記憶に残ります。

また、人の行動は、目標を定め、実行し、その結果を評価する流れで進みます。文章でも、読み手が目的を理解し、示された手順を実行したうえで、その結果を確認できるように組み立てることが大切です。

こうした特徴を踏まえ、文章を作成する流れを4つのステップに分けて見ていきます。

1. 何のために、誰に伝えるのかを決める

最初に決めるのは、何のために、誰に伝えるのかという点です。目的と読み手が変われば、取り上げる情報や示す順序、適した表現も異なります。

複数の目的がある場合は、中心となるものと、それに付随するものを分けます。たとえば、新しいツールの利用方法を案内する場合は、操作を迷わず進めてもらうことを主な目的とし、背景説明は必要な範囲に絞るという考え方です。

読み手については、年齢や職業などの属性だけでなく、次の点も想定します。

  • どの程度の知識を持っているか
  • 何に関心を持っているか
  • どのような目的で文章を読むのか
  • 読んだあと、どのような状態になってほしいか

相手を具体的に思い浮かべることで、どこから説明すべきか、専門用語をどこまで使えるかを判断しやすくなります。

2. 必要な情報を選び、伝える順序を整える

書き始める前に、説明する対象について情報を集めます。どのようなものなのか、既存のものと何が違うのか、読み手にとってどのような意味があるのかを確認します。

集めた情報をすべて文章に盛り込むわけではありません。目的に応じたものを選び、時系列や重要度、関連性などを手がかりに分類します。この段階では文章の形を意識しすぎず、メモなど自分が扱いやすい方法でまとめても構いません。

読み手が内容を理解しやすくなるように、次のような点も意識します。

  • 情報を意味のまとまりごとに分ける
  • 全体から部分へ、概要から詳細へと進める
  • 既に知っていることから説明を始める
  • 必要に応じて具体例やたとえを用いる
  • 作業の説明は実際の手順に沿って並べる

一度に多くのことを伝えようとせず、必要な情報を選んで順番に示すことが大切です。

3. 内容と見た目を設計する

伝える情報と順序が決まったら、文章や図表、写真などをどのように配置するかを考えます。

どれだけ大切なことを書いても、必要な情報を見つけにくければ十分に読んでもらえません。目次や見出しを設け、書式に統一感を持たせることで、全体の構成や情報の位置を把握しやすくします。

構造化では、見出しや本文などの内容に関する情報と、書体や文字サイズなどの見た目に関する情報を分けます。Web ページで考えると、内容や役割を記述する HTML と、デザインを指定する CSS の関係がわかりやすい例です。

両者を分けることで、文章の役割や階層が明確になり、読み手が必要な場所へたどり着きやすくなるほか、作り手にとっても修正や再利用がしやすくなります。

4. 読み返して修正する

書き終えたら、推敲・リライト・全体確認の順に仕上げます。

推敲では原稿を読み返し、単語や語句の使い方、文や段落のつながり、内容の正しさや一貫性を確認します。書き上げてから少し時間を置いたり、紙に印刷して読んだりすると、執筆中には見落としていた違和感に気づきやすくなります。

修正が必要な箇所は、情報の追加や削除、文章の書き換えを行います。変更した部分だけでなく、最後に全体を通して読み、前後のつながりに問題がないか確かめることも重要です。

04 生成 AI 時代のテクニカルライティング

最近では、生成 AI によって、文章の下書きや要約、書き換えなどを行う場面が増えており、技術文書の制作でも、表記の統一や構造化、コードサンプルの生成といった作業に使われ始めています。

一方で、生成された内容が正確とは限らず、事実と異なる情報が含まれることも。
AI を利用する際は、出力の正確性だけでなく、入力する情報にプライバシーや知的財産上の問題がないかにも注意が不可欠です。

テクニカルライティングの考え方は、プロンプトを作る際にも役立ちます。目的や前提、求める内容を整理して伝えることで、意図に近い出力を得やすくなり、修正のためのやり取りやクレジットの消費を抑えることにもつながります。

AI が文章作成の一部を担うようになっても、目的と読み手の設定、情報の整理、見せ方、推敲という考え方は変わりません。
AI へ適切な指示を出し、生成された文章を評価するうえでも、テクニカルライティングの知識は重要です。

05 まとめ

受験勉強を進めるなかで、目的や読み手を決め、情報を整理して文章を組み立てる考え方は、普段の業務にも取り入れやすいと感じました。一方、言語表現や表記には細かな決まりがあり、覚える項目の多さには苦労しています。

試験では、『日本語スタイルガイド(第3版)』で扱われている表記や文章表現のルールを踏まえて解答しなければいけませんが、実際の文章では、すべてのルールをそのまま当てはめればよいとは限りません。Slack やメールでは、送信前に一度読み返す、一文に多くの内容を詰め込みすぎないなど、目的や読み手に合った考え方を選んで取り入れることが大切です。

今回学んだ内容を振り返りながら、日々の業務でも、読み手にとって理解しやすい文章を書くことを意識していきたいと思います。


参考文献:一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会編著『日本語スタイルガイド(第3版)』

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