AI エージェントを社内で試して見えてきたこと

目次
2 年間ほぼ毎日同じ時間に同じチョコザップに通い続けているのですが、いろんな人が来なくなりました。
この記事は、社内イベント「お茶会」での発表内容をもとにまとめたものです。
今回は弊社の maya が、社内で実施した「event-ai-agent」の取り組みをもとに、「AI エージェント」について話しました。
最近、AI の話題の中で「AI エージェント」という言葉を目にする機会が増えてきました。
GitHub Copilot のような補完型 AI や ChatGPT のようなチャット型 AI とは異なり、指示を与えると自律的にコードを書き、タスクを進めていくタイプの AI で、Devin や Claude Code などが有名です。
こうした AI は、便利そうに感じる一方で、実際にどこまで任せられるのか、どんな場面で使えるのかは、触ってみないと分からない部分が多いのも事実です。
S2 には、コードを書くこと自体が好きだったり、自分でやったほうが速いと感じる人が多くいます。また、自社に権利のないデータや取り扱いに注意が必要な情報を扱う仕事が多いこともあり、AI に任せることに対して慎重な感覚を持っている人も少なくありません。
それでも今後、エージェント型 AI は広まっていくと考えられ、うまく使えれば作業の口数を抑えられる可能性もあります。そこで「社内で AI エージェントをちゃんと使ってみる時間を作れないか」という話が社内で持ち上がりました。
こうして立ち上がったのが、1 か月間にわたって取り組んだ社内企画「event-ai-agent」です。
01 AI エージェントとは
まずは、今回の企画の前提となる AI エージェントについて整理しておきます。
ChatGPT のようなチャット型 AI は、チャットでやり取りした内容に対して、その場で回答を返す AI です。質問に答えたり、相談に応じたりといった使い方が中心になります。
対して AI エージェントは、目標を与えると、その達成に向けて自律的に行動する AI です。人が細かく手順を指示しなくても、状況を判断しながら処理を進め、コードを書いたりシステムに手を入れたりしながら、複数の工程を含むタスクを一連の流れとして完了させます。
AI エージェントの主な特徴は、次のとおりです。
- 自律性(Autonomy)
人の指示を逐一待たずに、自分で判断して行動できる - 目標指向(Goal-oriented)
与えられた目標を達成するために計画を立てる - 環境認識(Perception)
周囲の状況やデータを認識・理解する - 行動実行(Action)
ツールや API を使って実際に作業を行う - 学習能力(Learning)
経験から学び、振る舞いを改善していく
AI エージェントができること
AI エージェントは、さまざまな役割を担うことができます。
- カスタマーサポートエージェント
顧客の質問に対応し、問題解決までを行う - データ分析エージェント
データを収集・分析し、レポートを作成する - コーディングエージェント
プログラムを書いたり、バグを修正したりする - タスク管理エージェント
スケジュールを管理し、リマインダーを送る
MCP(Model Context Protocol) を利用することで、外部のツールやサービスと連携した処理も可能です。
例えば、Figma の MCP を読み込ませてデザインデータを参照したり、Gmail と連携してメールを送信したりといったこともできます。
02 event-ai-agent
event-ai-agent は、社内で AI エージェントを一定期間実際に使い、その使いどころや制約を確認するために行った取り組みです。
個人で断続的に試すのではなく、期間を区切り、参加者同士で状況を共有しながら進める形にしました。参加は希望制とし、関心のあるメンバーがそれぞれのペースで取り組めるようにしています。
概要は以下のとおりです。
- 実施期間:約 1 か月
- 使用ツール:Claude Code
- 検証は、社内で用意したサンドボックス環境(EC2)上で実施
- 進め方
- 期間中、各自で AI エージェントを使った検証を実施
- Slack 上の専用チャンネルで、検証内容や気づいたことを随時共有
- 週 1 回・30 分の共有会をオンラインで開催
- 期間内に 1 日、オフラインで集まり集中的に検証
オフラインでの集中検証日には、次のレギュレーションを設けました。
- 人が行うのは AI エージェントへの指示出しのみ
- ソースコードを人が直接書くことは禁止
- 指示用のテキストファイル作成は可
また、本企画で設定していた目的は次の 3 点です。
- エージェント型 AI にふれるきっかけを作る
- できること・できないことを経験として知る
- 今後の案件に活用できそうな可能性を探る
03 事例紹介
それでは、期間中に参加者が試してみた事例について紹介します。
事例 1:API 仕様書を渡してフロントエンドを作らせてみる
この事例では、AI エージェントにどのような情報を渡せば、どこまでアウトプットできるのかを意識して試してみました。
API 仕様書を入力として渡し、「この仕様をもとにフロントエンドを作ってほしい」と指示しました。AI エージェントに依頼した内容は次のとおりです。
- 作業用のブランチを作成する
- 簡単な API を実装する
- 実装後に動作確認を行う
- README を作成する
- .gitignore を設定する
- 成果物を commit し、リポジトリに push する
実装手順の分解や、Git 操作を含めた作業はすべて AI エージェントが行っています。
その結果、生成されたのが下のアプリケーションです。

仕様書という限られた情報からでも、フロントエンドの形を容易に作れることがわかります。
事例 2:Auth0 のエクスポートデータを変換するプログラム
Auth0 からエクスポートしたデータを ion 形式に変換するプログラムの作成を AI エージェントに任せました。
変換処理の実装に加えて、テストデータの作成までまとめて行ってくれた点は便利に感じられました。
一方で、最初に生成されたプログラムではパフォーマンス面に問題があり、特に処理の中で jq の呼び出し回数が非常に多い点が気になりました。
改善方法を指示することで、より良いプログラムにはなりましたが、現状のまま実案件で使うのは難しそうに感じてしまいました。
事例 3:古いメモデータの移行を手伝ってもらう
業務とは直接関係ないものの、日常的に発生しがちな作業として、古いメモデータの移行を AI エージェントに任せてみた事例です。
かんたん Markdown 形式で保存していたメモデータを、Markdown ファイルとして整理・変換する作業を行っています。変換処理はまとめて AI エージェントに指示しました。
その結果、全体の大部分は問題なく変換され、実用上は十分な精度で移行できました。特に、ファイル名の正規化(NFD から NFC への変換)についても、指示だけで対応できた点は印象的でした。正規化の考え方自体も、この過程で把握することができています。
しかし、画像の埋め込み部分については正しくパースできないケースがあり、いくつかのファイルは手動での確認が必要でした。
事例 4:積読管理
積読本を管理するための簡単な Web アプリ。
本棚のように本が並ぶ UI にしたい、という指示を出したところ、レイアウトや見た目も含めて実装されています。

途中一度動かなくなってしまい、その際、AI エージェントがかなりの勢いでソースコード全体を確認し始めたため少し不安になりましたが、2 回ほど修正を重ねることで最終的には正常に動作する状態になりました。
事例 5:競馬レース予想アプリ
競馬のレース条件を入力すると、AI が予想結果を生成するアプリです。
レースの種類や距離、出走頭数を入力し、あわせて各馬の名前を登録したうえで「レースを登録」すると、AI が予想を行います。
単勝・複勝といった基本的な馬券に加え、三連単や三連複など、頭数や順序によって成立条件が変わる馬券についても、あらかじめルールを伝えたうえで結果を出す構成になっています。
予想を実行すると、UI 上で馬が走る簡単なアニメーションが表示され、その後に予想結果が表示されます。


04 オフライン会について
オフライン会では、X を模倣したアプリを作る取り組みを行いました。
やっていいのは AI エージェントへの指示出しのみとし、フロントエンド・バックエンドを含むコードはすべて Claude Code に書かせる、というレギュレーションを設けています。
参加者それぞれが自分の環境で AI エージェントに指示を出し、完成したものを持ち寄って見せ合いました。一発の指示でどこまで書かせられるかが重要なポイントとなり、細かい修正を重ねるのは難しいと感じる場面もありました。
私が作ったものはこちら。


ファンタジーなデザインで、と伝えたところ、この見た目になりました。
投稿や削除に加えて、フォロー・アンフォロー、プロフィール編集、検索機能まで、必要な機能は一通りちゃんと実装されています。
05 AI エージェントと S2 の今後
今回利用していた Clauded の Max プランについては、上限まで使い切る参加者はいませんでした。
今後は、API キーを各人に発行し、使用量を把握しながら運用していくつもりです。従量課金ではありますが、事前チャージ制のため、コスト面では比較的管理しやすいと考えています。
また、全体向けに AI エージェント利用時のガイドラインを作成し、セキュリティや取り扱いのルールを整理していこうと思っています。
06 まとめ
event-ai-agent を通して、AI エージェントを実務に近い形で試すことができました。
当初は「まずは触ってみるきっかけを作る」ことを主な目的としていましたが、実際に使ってみる中で、想像以上に実用的だと感じました。
定例や共有の場を設けたことで、「どう使っていけそうか」を継続的に話せた点も良かったと思います。週 1 回の定例後に、Slack チャンネルでのやり取りが活発になる様子も見られました。
ですが、できるだけセキュアに使うための環境づくりやガイドライン整備については、思っていた以上に手間がかかることもわかりました。
自分でコードを書かなくても、フロントエンドからバックエンドまで含めて、実際に動くものが一通りそろうのは大きな利点だと感じています。ただし、まったく新しい仕組みを一から作るのは難しそうで、一般的によくある構成やパターンを持つものほど相性が良い、という印象もあります。
今回の参加者は普段からプログラミングを書いている人ばかりでしたが、必ずしもそうでない人でも、日本語で指示を整理して伝えることで、さまざまなものが作れる可能性を感じました。
今後は、社内でより多くの立場の人にも実際に使ってみてほしいと思っています。

S2ファクトリー株式会社
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